茨城県立日立第一高等学校
第28回げんでん科学技術振興大賞 受賞!
第28回げんでん科学技術振興事業において、本校生物部3名の進めてきた研究が見事、大賞として選ばれました。本事業は、茨城県内の児童生徒を対象に科学技術に関する調査・研究計画を公募し、優れた計画を助成することで、科学技術への興味・関心を高めるとともに、独創性と豊かな創造性の育成を図る取組です。研究成果の顕彰として「げんでん科学技術振興大賞」が設けられており、各部(小・中・高)で特に優れた研究成果に授与される最上位の賞として位置づけられています。
茨城県庁での表彰式。中学生や顧問とともに喜びの記念撮影。
令和7年12月12日(金)、茨城県庁において表彰式が執り行われ、研究に参加した生徒2名が出席させていただきました。本研究は、生物部の活動として進めると同時に、サイエンス科2年次「白堊研究Ⅱ」の研究としても位置づけ、課題設定から実験系の構築、データ取得・解析まで、高校生自身が主体的に進めてきました。
研究題目は、「Drosophilaにおける嫌悪記憶の日齢依存的な消去学習効率の検証」です。本研究では、嫌悪記憶を状況に応じて柔軟に“忘れる”という現象(適応的忘却)が、加齢に伴ってどのように変化するのかを、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の嗅覚連合学習と消去学習を用いて検証しました。連合学習とは、条件刺激(CS)と無条件刺激(US)を対提示することで、CSが特定の反応を引き起こすようになる学習です。
研究の背景と、加齢が忘却に与える影響という着眼点。
本研究の基盤となる嗅覚連合学習のメカニズム。
まず、高校ラボでも実施可能な実験系を構築するため、キイロショウジョウバエの連合学習の研究に用いられるT字型迷路を自作しました。多くの研究室で、T字型迷路は自作されており、市販品はほぼ存在しません。そのため、安価で入手しやすい水槽用の樹脂管を組み合わせ、風速0.4 m/sにより送風することで管内の臭気を均一化する設計としました。
自作したT字型迷路の設計図と、実際に組み上げた実験装置。
嫌悪記憶は34℃の刺激により形成させ、その後25℃で消去学習を実施しました。これにより、嫌悪記憶が消去されるかを羽化後1日および7日齢で比較しました。連合学習のスコアは、PI = (#CS- - #CS+) / (#CS- + #CS+) で定義しています。その結果、1日齢では消去学習が成立したのに対し、7日齢では消去学習されにくいことが示されました。加齢に伴い、適応的忘却の柔軟性が低下し得る可能性が示唆されます。
温度変化を用いた嫌悪学習と消去学習の手順。
日齢による学習効率の差。7日齢では消去学習が成立しにくい結果に。
研究を進める上での大きな挑戦は、研究室レベルの装置導入が難しい中、「高校生が簡単に入手できるものだけで構成する」という制約のもと、粘り強く検討を重ねた点です。生徒たちは試行錯誤の過程を記録し、条件を一つずつ詰めていく研究姿勢を身につけました。これは今回の受賞に勝るとも劣らない大きな成果です。
審査員の前で、自作装置の独自性と研究成果を堂々と発表。
これまでの努力が実を結び、今回の受賞となりました。
なお、表彰式当日はベトナムへの研修旅行からの帰国日でしたが、生徒たちは疲れを見せず、県庁での成果発表に臨みました。また、附属中学校科学部も奨励賞を受賞し、中高揃っての喜ばしい表彰式となりました。