茨城県立日立第一高等学校
未来を拓く、日立一高の授業改善
日立一高では、新学習指導要領の趣旨を踏まえ、生徒の「思考力・判断力・表現力」を最大限に引き出す授業改善を全校体制で推進しています。
外部専門家の知見を活かした指導法研究、中高一貫の特性を活かした合同授業、そしてICTの戦略的な活用。
これらを通じて、生徒一人ひとりが問いを持ち、自ら学びを深める「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指します。
本ページでは、教員と生徒が共に進化を続ける、本校の実践の足跡を公開します。
1. 教職員対象グループワーク研修会(4月3日実施)
本校では、新入生が高校生活を円滑にスタートできるように、様々なオリエンテーションを実施しています。その中の一つがクラスメイトとの心理的距離を縮めるためのグループワークの時間です。昨年は大学の先生をファシリテーターとしてお呼びして、グループワークを実施してもらいましたが、今年度は教職員一人一人がグループワークの手法を身に付け、普段の授業やホームルーム活動で実践できるように、グループ・アプローチをご専門とし、高校教育の現場における実践経験が豊富な茨城大学名誉教授の正保春彦先生を講師に、実際にグループワークの体験を行い、その解説をしていただく研修会を開催しました。
本校の新入生オリエンテーション関連行事の紹介(令和8年度)
| 実施日 | 内容 ※丸数字は授業コマ数(1コマ:60分) |
| 4月7日(火) | 入学式 |
| 4月8日(水) |
対面式①、年次集会①、部・委員会紹介② LHRでの役員決め等② |
| 4月9日(木) | LHRでの学校探検・教科書販売等② |
| 4月10日(金) | クラス単位でのグループワーク①、LHR① ※ここが目標! |
| 4月13日(月) | 新入生オリエンテーション(進路支援部・特別活動部)①
「日立一高の学校生活で学んでほしいこと」 |
| 4月14日(火) | 新入生オリエンテーション(教育相談部)①
「教育相談部からみなさんに知っておいてほしいこと」 |
| 4月15日(水) | 新入生オリエンテーション(生徒支援部)①
「自立のための『自己指導力』を育成しよう~」 |
| 4月16日(木) | 学校設定科目「白堊研究Ⅰ」(ガイダンス・アイスブレイク)① |
最初に正保先生がファシリテーター役となり、4月10日の仲間づくり演習のモデルプログラムを45分で体験しました。写真は「手合わせ」です。教科学習でも応用可能なワークについても教えていただきました。研修を通じ、教職員自らがグループワークの有用性と楽しさを体感することができました。
グループワーク体験の後は、グループワークの理論や効果について正保先生から解説いただきました。正保先生は高校での実践が豊富で、実践例を交えたお話をいただくことができました。
2.グループワーク実践~新入生の仲間づくり支援~
当日は格技場を使って2クラス×3回、6クラス全ての生徒がグループワークを行いました。4月3日の研修会に参加した教員が当日のファシリテーター役を務めました。この日は正保先生に来校いただき、適宜アドバイスをいただきながら実施しました。正保先生にアドバイスをいただき、当日行ったプログラムは次のとおりです。
| 導入 | 趣旨説明、ファシリテーター、助言者紹介 | 備考 |
| ワーク① | 握手わたり⇒じゃんけん列車⇒うずまき | 最後に一体感が出る |
| グループ作り | トランプの同じ番号の人を探す | |
| ワーク② | 風船ゲーム | 8人グループ |
| グループ作り | トランプを交換し、同じ番号の人を探す | |
| ワーク③ | 一歩前へ! | 自己開示その1 |
| ワーク④ | 境界線 | 自己開示その2 |
| ワーク⑤ | 数字合わせ | 感受性を高める |
「ジャンケン列車」は2人から始まり、最後はクラスで1列になります。その後、ファシリテーターを先頭に室内を動き「うずまき」を行いました。
「一歩前へ!」では自分と同じ特徴をもった人がわかります。「数字合わせ」ではコミュニケーションをとりながら自分と友達のイメージのすり合わせを行いながら、クラスメイトとの関わりを深めました。
3.参加した生徒の感想(一部)
- オリエンテーションを行う過程でクラスの親睦を深め他の人に対して話しかけるなどの行動が行いやすくなったと感じた。
- 10日に行ったワークではクラスの人と仲良くなれるきっかけになり、とても良かったです。
- 最初のオリエンテーションでは、まだほとんど知らないようなクラスメイトと関わり、人柄などを知ることができて、その後のコミュニケーションなどがしやすくなった。
- クラスのみんなと関わる企画はとても楽しかった。まだあまりお互いを知らない状態だったため、少し仲を深められる良い機会になったと思う。
- 実際に体を動かしたり、話したりすると、見えなかった相手の面が見えてくるので、充実したオリエンテーションになったと思いました。
- クラスでもまだ話したことのない人やクラスの違う人などとの交流があり、少し緊張していた学校生活だったけれど、少しずつ緊張が解けて楽しく生活できるようになりました。
4.今後の授業改善への応用
「主体的・対話的で深い学び」の実現のためには、学習活動の中で生徒どうしの対話の場面を作っていく必要があります。このような学習活動を行うためには、お互いの良さを知り、安心できる人間関係が基盤になります。今回学んだグループワークの手法を授業に取り入れるなどして、深い学びの実現に努めていきたいです。
この度、2回にわたって本校に来ていただき、グループワークのご指導をいただいた正保春彦先生にこの場を借りてお礼申し上げます。
実践報告 vol.1:教科別 授業改善の試行(春・秋)
日立一高では、附属中学校と高校が密に連携し、「中高一貫教育の強みを活かした授業改善」と「次代を見据えた指導の実践」に取り組んでいます。
教員が互いの教育課程を深く理解し、中高の接続を意識した指導法を共有することで、生徒の3年間、あるいは6年間の学びをより豊かに、より深くつなげていくことを目指しています。
1. 中高交流での相互授業参観
実施期間:令和7年6月2日~7月4日
附属中学校での先取学習や発展的な学習内容を中高の教員間で共有するため、相互授業参観を実施しました。
校種を越えて指導の現場を直接確認することで、高校入学後の学習がよりスムーズに、かつ効果的に深化するよう指導の接続性を高めています。
2. 外部講師による教員研修会
実施日:令和7年9月2日
元茨城県教育長の柴原宏一先生を講師にお招きし、「変化する社会と教員」という題で講話を頂きました。
現在の学習指導要領の核心や、これから社会で求められる資質・能力について、最新の知見を全教職員で共有し、日々の授業実践へのヒントを得ました。
3. 五教科合同 公開研究授業
実施期間:令和7年10月27日~11月14日
国語、社会、数学、理科、英語の5教科において、中学・高校の教員が公開授業を実施しました。
「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け、ICTの活用や対話を取り入れた授業を展開し、放課後の検討会を通じて教科指導の質のさらなる向上を図りました。
【理論の提示と共有】
教員によるポイントを絞った解説を、生徒が集中して聞き入る様子。ここでの「学びの土台作り」が、後の深い探究へと繋がります。
【対話を通じた思考の深化】
ICTを活用したグループ学習。教員は机間巡視を行いながら、生徒の思考の詰まりを解消し、学びを加速させる支援を行います。
実践報告 vol.2:外部連携・中高合同授業の展開(冬)
実施日:令和8年2月19日(木)
■ 高校地理歴史科(地理):地域の変化を捉え、将来を構想する
大正大学文学部歴史学科の中嶋則夫先生の来校にあわせて、高校2年次「地理総合」の授業公開を行い、授業後に中嶋先生からアドバイスをいただきました。中嶋先生は、以前茨城県の高校で教鞭を取られ、その後文部科学省初等中等教育局で教科調査官を務められた経験をお持ちで、現行の学習指導要領に詳しい先生です。
当日の授業は1年間の「地理総合」のまとめとして行う4回構成の2回目の授業で、複数年の紙の地形図を比較し、地元日立市の変化を空間的に捉え、表現することをねらいとしました。4回の授業を通して最終的には地域の将来を構想します。中嶋先生からは、今日の授業に向けて生徒たちが思考できるようにするための種を1年間かけてまいておくことが大切であると教えていただきました。「日々の授業は、春に花を咲かせるためにある」ことを改めて学びました。
未来志向の授業を行うためのヒントとして、中嶋先生から各自治体が策定している総合計画の活用を勧められました。例えば2022年度から2031年度を対象とする「日立市総合計画」には、多様な市民を巻き込み、審議を経て策定された、地域の現状と課題に基づく将来像が示されています。まちづくりの計画は行政だけでなく、必要な手続きを経て決められていることを、この総合計画を通じて学べる点をご教示いただきました。今後の授業を構想する際に活用したいと思います。
特に強調したい内容や視覚資料は、大型ディスプレイを活用して提示します。
ICTとアナログ(紙地図)を併用することで、より対話的で協働的な学びが生まれます。
■ 公共 × 社会(公民分野):中高一貫の強みを活かしたコラボ授業
また、同日には国際問題を高校1年次(必履修科目「公共」)と中学3年生(社会科公民分野)が一緒に考えるコラボ授業が行われ、こちらも中嶋先生に参観いただきました。中嶋先生は授業者が最初に発した「楽しい授業にしましょう」という言葉に注目し、生徒たちを主体的な学びに導く重要な言葉かけだったと評価してくれました。
授業の最後に実施した生徒アンケートから、高校生は年長者として「教える」「リードする」立場を経験したことで、自己の理解度や対人スキルを再認識する機会となり、中学生は高校生の思考プロセスや表現技術に直接触れたことで、学習意欲の向上に繋がったことがわかりました。
中高合同授業の流れ。初対面なので、自己紹介から始めました。
国際問題について、高校生と中学生が協力してスライドを作成。多くの教員も参観し、指導法を共有しました。
中高生のペアで協力してスライドづくり。
完成したスライドを班ごとに発表。