お知らせ
科学講演会
令和3年5月21日(金)
電子黒板でZoomにて実施

 講師:小林亮太 先生
   (東京大学大学院 新領域創成科学研究科、東京大学 数理・情報教育研究センター、JSTさきがけ研究員)
 演題:脳のシミュレーション ~人間のように考える人工知能を目指して~


 講演の前半部分は先生の学生時代の経験談を、後半部分は先生の研究についてお話し頂いた。
 先生は学生時代、数学に関心が高く、特に図形と方程式の分野に興味があった。例えばy=ax+bという方程式を用いれば直線を表すことができる。正確なまっすぐの直線をフリーハンドでスケッチすることは難しいが、y=ax+bという方程式の数値を考えることは容易である。数式を用いると様々な線や円などの図形を考えることができる点に気がつき、人間の体の仕組みを数学を使って調べたいと考えるようになった。
 先生は、脳の神経細胞やシナプスを数式を使って電気回路に数理モデル化し、脳から計測されたデータを分析してコンピュータでシミュレーションするといった研究を行っている。これにより人間の脳に似たコンピュータを作ることができ、脳の病気の仕組みや手術の効果をコンピュータでシミュレーションすることができる。人の脳の1%は神経細胞20億個、シナプス10兆個で構成される。脳内1秒をスーパーコンピュータ京で計算しても実現するのに40分かかるなどまだまだ課題は尽きない。しかし、スーパーコンピュータも年々発展しているため、10年後には人の脳内を計算できる日がくるかもしれないという夢も話して頂いた。
 また、神経回路の回路図を推定することができるWebアプリの開発を行うなどして、研究を多くの人に知ってもらい、それを使ってもらうことで別の新たな発見につながれば嬉しいともおっしゃっていた。
 最後に生徒へ、好きなことはこだわって頑張ること、何事にも積極的にやってみること、心と体の健康を大事にすることの3つメッセージを送って頂いた。

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